星空学園サッカー部の部室

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7月28日はぁ?\監督の日ー!/

星空学園サッカー部の監督の俺、下深沢夏也はガキのころは誕生日を祝ってもらったことがない。むしろ誕生を恨まれたくらいだ。はじめて祝ってもらったのは3年前の33の誕生日だった。その当時1年だった桜葉たちが祝ってくれた。年齢的にはまた歳をとってしまったという感じではあるが、なかなか嬉しいものだった。
…そんな俺も気がつけばもう36なわけで、アラフォーだ。昨日から部員がこそこそしているから何か用意してあるんだろう。あえて何も知らないふりはするが。
部室に入ると、中は誰もいない。
(今年はどんなどっきりだ…?)
と、考えていると、背後に人の気配を感じた。振り返ろうとすると、
「動くな」
と言われ拳銃を向けられた。なんだか聞き覚えのある声だった。
「…五反田?」
「違いま……違う」
「今敬語にしようとしたな」
「してない」
「そんなおもちゃの拳銃向けてもビビらないぞ」
「いや、これそういうのじゃないんで」
バン!とリアルな発砲の音がした。発砲された弾(といってもビービー弾?)は、こつんと天井にぶら下がっていたくす玉に当たった。すると、ロッカーのなかから部員達が続々出てきた。
「「「監督ー!!誕生日おめでとー!!」」」
クラッカーの音がうるさく鳴り響く。割れたくす玉からは『祝 36歳監督』と書かれた紙が垂れていた。
「……余計なお世話だ」
「いやぁ、監督って俺たちの倍生きてるんだねぇ」
そう言ったアホキャプテンの頭を拳骨でグリグリとしてやった。
「いだだだだだだだごめんなさいごめんなさい」
「でも…ありがとうな。気持ちよく36を迎えられた」
「兄上がケーキ作ってくれたんですよー!」
小道はでっかいケーキを運んできた。
「皆で食おうな。ただし、明日はランニング倍でやるからな、覚悟して食え」
「「「はい!!いただきまーす!!」」」
「おい、一応俺が主役…」
「監督はやくー!無くなっちゃうよー?」
そうして俺はケーキ争奪戦に参加した。

部活が終り、車でグリンと一緒に帰っていた。
「楽しかったですか?監督」
グリンはそう聞いてきた。
「おう。あんだけ祝ってもらえるようになったのは最近だから、悪い気分はしない」
「そうですか」
グリンは満足そうに笑った。
ガキのころから不幸で、現役時代…特に引退する直前までは今思うと地獄のようだった。けど、今は教え子に囲まれて笑っていられる。俺にこんな幸せがあっていいのだろうかと思っている。でも、あの人は言った。
『今がドン底なら、それ以上底はないってことだよ。だから、夏也にはすっごく明るい未来しか待ってないんだよ!』
俺より年上のくせに、無邪気に笑っていた。
(ほんとにそうでしたよ……)
「あ!監督、父ちゃんが誕生日祝い送ってくれたみたいです!」
「風空さんが?!ありがたいな」
「監督、改めて誕生日おめでとございます」
「……おぅ」
自分がどんな顔をしてるか分からないのでグリンの顔は見ないようにした。


次の日
星夏「グリンリン、監督泣いた?」
グリン「泣きましたよ、こっそり」
優羅「作戦成功だな」
監督「何がだ?」
「「「!!(゜ロ゜;」」」
監督「グリン余計なことを言うな。昨日言った通りランニングは倍のグラウンド20周!無駄に摂取したカロリーを消費するぞ!」
津鐘「えええええええええ」
監督「なんだ足りないか?」
賢吾「充分でございますっ!」
監督「ならぼさっとしてないで走れ!そのあとは筋トレ!」
「「「はい!」」」
各々が走りに行き、マネージャーはドリンクの準備をはじめ、顧問の泉川とふたりになった。
楓「容赦ないですね」
監督「体が重いと動きが鈍くなるからな。かといって筋肉もないと充分に走れない」
楓「愛の鞭ってやつですか」
監督「飴と鞭は使い分けるんだよ」
楓「36か……」
監督「んだよ悪いか」
楓「いいえ、監督は私より先にお亡くなりになるなぁと」
監督「丈夫なのがとりえだ。ガキのとき風邪引いたら自力で治してたし」
楓「そうですか」
泉川はくすくすと笑った。
監督「嫌味のつもりか?」
楓「いいえ?」
監督「じゃあなんだ、俺が先に死ぬと寂しいか」
楓「どうですかねぇ。ま、お墓には行ってあげてもいいですよ?」
監督「なんだそれ」
グラウンドに目をやると、木が並んでいる場所に赤い髪の人が見えた。酒井と思ったが、違う。あれは……
監督「……!」
その人は笑ったように見えた。



監督、誕生日おめでとー!!